前回のブログでは、営業活動をせずに物が売れることがマーケティングの究極のゴールであることを書きました。
今回は、そのゴールに行きつくまでに重要な、USPについて書きたいと思います。
USPとは
USPとはUnique Selling Propositionの略で、商品やサービスが持っている差別化された唯一無二の強みを意味するマーケティング用語で、下記の3つから構成されます。
- Unique:唯一
- Selling:販売
- Proposition:提案
他社の商品やサービスと違う価値を提供して、自社の強みを明確にし、唯一無二の存在として認められるよう、顧客に伝わりやすくしたものが「USP」です。
マーケティング部に異動になったばかりの方や、個人でビジネスを始める方には、ぜひ知っておきたい考え方です。
USPの作り方ー4つの視点から考えようー
USPの概念は「唯一無二」というとてもシンプルなものです。
でも、世の中に出ていない唯一の商品やサービスを作り出すのは至難の業です。
まずは、具体的には以下の要素をUSPに組み入れてみましょう。
①7つの項目を整理してみよう
- 価格
- 品質
- スピード
- 保証できる範囲
- ラインナップの豊富さ
- 専門性
- 利便性
自社の強み、といっても、もともとある1万円の商品を7千円で売るとか、商品におまけ1個をつけるとか、では足りません。
何故なら、それくらいでは、人の好奇心を掻き立てることができないからです。
ただ早いではなく、ドミノピザのように「30分」と明確に分かりやすい形にした方が効果的で独自性が出ます。
ドミノピザの例
【熱々で美味しいピザをお宅まで30分以内にお届けします。間に合わなければ、代金はいただきません】
単に30分以内にお届けするならば、普通のデリバリーでですが、間に合わない場合は返金する!と言い放つインパクトが秀逸です。
人はすでに聞いたことのあることには、興味を持ちませんが、初めて聞いたことには引き付けられる生き物です。
「なんだそれ!」と思ってもらうくらいインパクトのあるものでないといけません。
サービスや商品そのものが、完全に日本唯一という状態を作り上げるのがUSPです。
②ストーリーにコミットする
マーケティングにおいて大切なのは、相手の理想とする未来に連れていく、コミットするという考え方です。
未来を実現するために、取り入れなければならいことは一つではありません。
ストーリーにコミットするためには、一つのサービスを売るのではなく、複数のものを掛け合わせて提供することが多いです。
③複数の価値を掛け合わせる
例えば、うつ病を抱えている人がいるとします。
うつ病を治すためにカウンセリングします、という一つの価値提供では唯一無二の存在となるには足りません。
うつ病患者をよく調べると、腸内環境が整っていなくて、宿便がたまっている場合が多いのです。宿便がたまると、栄養が吸収されず、力が湧いてこないので、何をしても無気力な状態に陥ってしまいます。
心と体はつながっているので、両方を元気にする必要があるという、二つの価値を掛け合わせます。
カウンセリング×腸内環境を整える
この二つに、半年以内にうつ病完治させることができるという価値を掛け合わせると、USPはさらに強くなります。
カウンセリング×腸内環境を整える×半年以内に完治させる
さらに、うつ病の方は退職してしまっている人が多いので、この3つに就職斡旋サービスまでつけることができたら、もっと強くなります。
カウンセリング×腸内環境を整える×半年以内に完治させる×就職斡旋
一見すると、サービスが増えて大変のように見えますが、全てがうつ病を治すという未来のストーリにコミットするための必要な要素なので、つながっています。
うつ病の人は、真面目な性格の方が多いので、心と体が復活したら、働きたいと思うはずです。
その方の理想の未来である「うつ病を治して、働く」というストーリーに寄り添って考えることが、USPを作るうえで最も重要です。
ここでは、以下の4つのサービスを掛け合わせることにより、USPを作っています。
- 心のケア⇒カウンセリング
- 体のケア⇒腸内環境を整える
- 半年以内に治す
- 就職斡旋
4つの価値を掛け合わせることで、新しいニーズを刺激することができます。
うつ病を治すとうたうカウンセラーはたくさんいますが、半年以内に、体も元気にしてくれて、就職斡旋までしてくれるカウンセラーはいません。
レッドオーシャンの中に、ブルーオーシャンを作る。
このような状態を作ることが、USPを作る、ということです。
④ユーザーを絞る
前述のドミノピザのUSPで注目すべきなのが、味に関して言及していない点です。
飲食店であれば、「美味しいピザを」となりがちですが、あえて触れていません。
これにより、「時間がかかってもいいから、味にこだわった美味しいピザを食べたい」人ではなく、「熱々のピザをすぐに食べたい」人にターゲットが絞り込まれているのです。
この一部の顧客と強い結びつきを築きあげることで、より速いスピードでその影響力を広めることができます。
まとめ
USPとは、単に他社より安くしたり、おまけをつけることではありません。
相手の気持ちになって、何にコミットするか、コミットするために必要な要素は何なのか、相手の代わりに考え、調べて、情報を取り、専門家に会いに行って、必要なものをあなたが揃えて提供することが最も良いUSPの作り方です。